皆さん、資産運用をしてますか?
ここ数年日本でも、貯蓄から投資への合言葉の元に、投資、資産運用を始める人がたくさん増えましたね。皆さんの周りでも、株で儲かった、とか、仮想通貨で億り人、なんていう話をきいたことがあるかもしれません。とても夢がありますね。
でも、いざ自分が投資してみようにも、かえって損をしてしまったり、下手したら騙されてしまうじゃないか、って不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのとおりです!
騙されたり損したり間違った情報で失敗したり、おおいにあります!私もいろいろ痛い目に合いました・・・
そこで今回は、投資や資産運用にまつわることで、真実のように語られているけど、実はちょっとおかしいのでは?と思える、5つの説を紹介したいと思います。読者対象は、投資について、ちょっとかじったことがある、ぐらいの投資ビギナーの方です。
ただ、始めにお断りしておきますと、今回は一つ一つの根拠は書きません。気になる方は、参考に挙げているサイトや資料を、ぜひ、みてみてください!
では、投資にまつわる5つの怪しい仮説、紹介していきます!
怪しい説① 投資は銘柄選びとタイミングが命?
投資というのは、どういう個別銘柄が良いかをしっかり選び、下がったときに買い、上がった時に売るもの。銘柄の価格の上げ下げを予想し、売り買いのタイミングをよく考えることが大事!
これはもう、投資の基本にして全てという感じですよね。株価が来年上がるか下がるか、みんな必死になって予想して、儲けを得ようとしています。しかしこれ、資産運用のセオリーでは、まったく違うとされているんです!
投資業界で超有名な論文「Determinants of Portfolio Performance」(ポートフォリオのパフォーマンスの決定要因)によると、投資のリターンを決定する要因として、個別銘柄を選ぶことや売り買いのタイミングは、数%ぐらいしか影響がないそうです!(Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, Gilbert L.Beebower“Determinants of Portfolio Performance” Financial Analyst Journal 1986)
では運用のパフォーマンスを決めるのは何かというと、アセットアローション(資産配分)をどうするか、という事です。アセットアロケーションが、パフォーマンスの90%以上を決めるというデータが出ています。
資産運用を考える方は、まず下記サイトなどでアセットアロケーションについて調べてみましょう。
怪しい説② 一括投資よりドルコスト平均法が優れている?
インデックス投資ではドルコスト平均法がおすすめ!例えば120万円あるなら、月10万円ずつ1年に分けて買えば、暴落がきても平均購入単価が下がるから安心だ!
ドルコスト平均法、よく聞きますよね。しかしこれ、広く分散されたインデックス投資の理屈からすれば、合理的ではありません。
例えば、アメリカで人気の投資の本「THE SIMPLE PATH TO WEALTH」には次のように書かれています。
『投資した途端に市場が下落するかもしれないと思うと、夜も眠れないという場合には、ドルコスト平均法を使うのが良いでしょう。何をやっても世界の終わりが来るわけではありませんから。ただし、それはご自分の投資の考え方を修正していることとなるのですよ。』
THE SIMPLE PATH TO WEALTH 邦題「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え / ジェイエル・コリンズ/著 小野一郎/訳 P241
この著者は、アメリカ全体の株式と債券に連動したインデックスファンドに投資することを提案しています。その中で、わざわざ「ドルコスト平均法を好まない理由」という章を設けて、ドルコスト平均法をすべきではない理由を書いています。
ドルコスト平均法が常に悪いわけではありませんが、正しく理解することが必要ですね。
ちなみに、広く分散されたインデックス投資の考え方の場合、もし投資してよい大金があるなら、即全額、一括でドドーンと買ってしまうのが論理的に整合性があります。ただ、これを心から納得して、実践できる人は中々少ないようです。
「THE SIMPLE PATH TO WEALTH」は投資の本として、とてもおすすめです!
怪しい説③ 4%ルールで安心してFIRE?
4%ルールに基づき5000万円ためてセミファイアー。4%分、250万円だけ毎年使えば、元本減らずにずっと大丈夫!
4%ルール、FIREを目指してる人は、聞いたことがあるでしょう。しかし結構、誤解が多い考えです。まず4%ルールにも大きく2種類があります。
① ある時点の資産の4%を毎年、定額で取り崩していく方法
② 毎年、資産の4%を定率で取り崩していく方法
どうも4%ルールの話について、この二つがごちゃまぜになっていることが多いようです。それがもし、上のように合併した考えなら、とても危険ですね。
また、正しく理解したとしても、日米の税金の違いや米債権の為替リスクなど、日本にそのまま変換して良いものか疑問があります。これを信じてFIREしてみて、十数年たって、アレレダメでした、という可能性が結構あるなら、とても安心して老後を迎えられませんね。
なお①は、アメリカのトリニティ大学の教授が発表した『退職金の節約:持続的な取り崩し率の選択』通称トリニティスタディ、という研究から来ています。原文が無料で公開されてます。
②は投資の世界の古典的名著、「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理 2019/7/20バートン・マルキール (著), 井手 正介 (翻訳)」から来ています。
FIREに興味がある方は、ぜひ、原本を読んで正確な理解をしてみてください。
怪しい説④ 経済の成長を信じて投資していけば良い?
経済というものは、上げ下げ波はあれど右肩上がりに成長していくもの。ちょっとの上下に囚われず、経済の成長、人類の発展に乗っかっていくのが本当の投資だ!
経済は成長していくもの、というのは本当でしょうか?人類全体過去200年とかのスケールでみればそうかもしれませんが、例えば部分的に30年位成長しない事もよくあります。
日本は今が停滞期ですし、アメリカでも過去には数十年単位で、そういう時期がありました。
長期の成長説が怪しいという話は、グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュートという世界の金融市場の分析記事を掲載しているサイトの、下記のような記事がわかりやすいですね。
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
とはいえ、投資は、経済成長するものを買えばいいというものでもないんです。さらに、経済成長しないものが必ずしもダメだというわけでもありません。インデックス投資をするとしても、何に期待して投資をしているのか、という事の理解が大切です。難しいですね!
怪しい説⑤ 長期投資なら儲けは期待リターンに収束する?
長期投資は安全!期待リターンが年間6.5%なら、年によって変動はあっても、長期でみれば、最終的に、大体、年率6.5%プラスぐらいに収束する!
長期投資だから大丈夫説、非常によくありますね。その内容は色々で、ちょっと怪しげなものが多いように思いますが、例えば上のような説なら、数学的に、はっきり違います。というか、そもそもリスク(価格の振れ幅)を考えないのはナンセンスです。
例えば100万円を、年間の期待リターン6.5%、リスク20%(世界株インデックスはこのぐらい)を30年運用した場合、結果だけ書きますと
期待リターンの年率6.5%のリターン(660万円ぐらい)より多く儲ける確率は、大体30%くらいしかありません。つまり残り70%はそんなにリターンは得られないのです。
それどころか、原本割れ(100万円以下)も9%ぐらいあります。最もありそうな可能性、最頻値は年率1.1%(140万円)ぐらいです。。。
全然年率6.5%に収束しません。上のような考えで投資をすると、30年、長期投資を信じてやった結果が、こうなるわけです!コワイ…
この辺は、純粋に数学的な話なので、きっちり理解したい方は、統計学を勉強してみてください!
まとめ
以上、投資にまつわる5つの怪しい説を紹介してきました。資産運用などに興味を持った方なら、どれか、聞いたことがある、ということがあったかもしれません。上のような意見を正しいと信じて、そのまま投資をしていたら、痛い目にあったかもしれません。
いやでも、痛い目に合わないかもしれません!
むしろ上で紹介したことを信じて大儲けする可能性だってあります。資産運用、何が正しいか、難しいですね!
それでは皆さん、輝かしい未来ために、楽しく夢のある投資ライフをお楽しみください!
ありがとうございました!
ファイナンシャルプランナー、投資家、ビットコイナー